ビジネスマナーの基本

1.社会人としての身だしなみ

身だしなみの重要性

マナーとして身だしなみを整える事は非常に重要です。「身だしなみ」は、学生時代の「おしゃれ」とは異なるものであり、第一印象を良くする為のものですので、気配りが重要になります。

最も注目されるポイントは「清潔感」です。高価なスーツやシャツ、ネクタイを揃える事ではなく、清潔感に拘り、スーツや靴の手入れをこまめに行う事が大切です。

自分で気づく事は難しいですが、一日中着用したスーツには、汚れや臭いがついてしまっています。帰宅後、スーツを脱いだ後は、皺にならない為にも、すぐに厚みのある木製のハンガーにかけて風通しの良いところに掛ける事を習慣づけて下さい。

簡単な事ですが、これだけでも汚れや匂いの原因を失くす事につながります。ブラシをかけるといった手入れは、休日に行ないます。また、スーツは、季節に応じた素材のものを身につける事も身だしなみの1つです。夏のサマーウールのスーツは、冬に目にすると寒々しく感じますし、冬の厚い目のウールの生地は、夏に目にすると暑苦しく感じます。いくら清潔にしていても第一印象を損ねてしまいます。

靴についても、週末などに汚れを落し磨くなどの手入れを行う事を心がけてください。靴の傷みを防ぎ長持ちさせるためには、複数の靴を交替で履く事をお奨めします。

スーツ、靴ともに、小まめな手入れが長持ちする事に繋がりますので、それぞれの手入れ方法についてご紹介します。スーツは、クリーニングにまめに出すと、却って痛みの原因となりますので、クリーニングに出すのは、シーズン中1、2度と決め、日々の手入れを重点的に行ってください。

●スーツ…ブラッシングの順番は、スーツの上着は上から、パンツは下から上に順番に行ないます。ブラッシングの後は、軽く湿る程度にスプレーで水を拭きかけ、風通しの良い日陰に吊るしておくと、汗などの臭いを失くし、皺を伸ばす事ができます。

●革靴…前から後ろへブラッシングし、汚れを落とした後に、靴専用のクリーナーを薄く伸ばし、その後、きれいな布でふき取ります。汚れが落ちたら、靴用のクリームを塗り皮に潤いを与え、ひび割れを防ぎます。最後に、撥水スプレーを吹きかけておきます。撥水スプレーには、汚れを防ぐ効果があります。

 

清潔な印象を与える服装

手入れが行き届いたスーツ

手入れが行き届いたスーツは、会った人に良い印象を与える事ができます。その為には、スーツは数着準備しておき、「1日着たら1日休ませる」を基本に着用してください。日々の手入れだけでは、繊維のくたびれを防ぐ事は難しいので、交互に着用する事でスーツを長持ちさせる事ができます。

また、スーツのサイズが身体にあっている事も、清潔感には必要な条件です。スーツを購入する際には、必ず試着をして全身を鏡に映して確認してください。確認するポイントは、上着の袖からワイシャツの袖が少し覗いている事、上着の肩幅が体にフィットしている事などです。

好印象を与えるヘアスタイル

ヘアスタイルも清潔感が重要です。顔がはっきりと明るく見えるように、男性は、短髪、女性でロングヘアの方は、後ろで1つにまとめておくと良い印象が与えられます。整髪料については、髪をまとめる程度は必要ですが、過剰な使用は良い印象には繋がらないのでご注意ください。

手入れがされた靴 

靴も意外と人の眼に留まる部分です。かかとが磨り減っていたりすると、印象に関わりますので、まめに修理に出す事をお奨めします。

男性のスーツはデザイン性より機能性を重視

男性のビジネス用のスーツは、デザイン性よりも機能性を重視してスーツを選ぶ事をお奨めします。

色・柄は、濃紺やチャコールグレーの無地を選ぶと失敗がありません。柄ものを選ぶ場合は、極細のストライプといった遠目には無地に見える程度の控えめな柄をお選びください。

スーツのサイズが大きすぎる場合、頼りない印象を与えてしまいます。購入の際は、上着の袖丈、パンツのウエスト、裾を確認し、必要があれば、お直しに出す事をお奨めします。

パンツの裾を折り返しタイプにしたい場合は、通常より短めの丈にしておくと、靴の上でだぶつく事がありません。改まった場所で着用するものについては、シングルタイプが正式ですのでご注意ください。

ネクタイピンについては、若い方は使用する方が少ないと思いますが、使用する場合は、目立たない小ぶりのものをご利用ください。

 

スーツの選び方:男性編

色、素材…色は、濃紺またはチャコールグレーといったダークな色合いが、落ち着いた印象を与えてくれます。柄は、無地または目立たないストライプがお奨めです。素材については、型崩れしづらく、冬は暖かく、夏は涼しく着られるウールが機能的にお奨めです。

上着のシルエット…新社会人には、ベーシックなシングルタイプの3つボタンのものがお奨めです。3つボタンのスーツは、ボタンは全部留めずに、一番下を外しておくときれいに着こなせます

パンツの丈…靴の上でパンツがだぶついているとだらしない印象を与えてしまいます。パンツの折り目が真っ直ぐに落ちていると好印象です。長い丈はだらしない印象を、短めの丈は頼りない印象を与えてしまいます。裾は足の甲にあたる程度の丈がお奨めです。

機能性スーツ…営業職の方、特に客先の訪問に自転車を用いる方は、パンツの傷みに配慮した2本のパンツがセットになっている便利なセットも販売されています。また、省エネが心がけられている為、夏に快適に過ごせる素材のスーツも開発されています。

ワイシャツ&ネクタイで個性を発揮

スーツや靴はベーシックなものを選ぶ事が基本ですので、少し、周囲と違う面を印象付けたい場合は、ワイシャツやネクタイが、個性を発揮できるポイントになります。清潔感を損なわずに個性を発揮する選び方をご紹介します。

ワイシャツは、基本的には白の無地をお奨めしますが、個性を表すには、目立たないストライプやチェック柄をお試しください。

また、体に合ったサイズのものを選ぶことは重要です。ポイントは、首周りに人差し指を1本差し込める程度の余裕がある事です。

ネクタイは、無地、レジメンタル・ストライプ、小紋がお奨めです。シャツの色と合わせて3色以内に抑えると失敗が少ないです。また、スーツと同系色に合わせる事もお奨めです。ストライプのシャツにストライプのネクタイを合わせる場合は、ストライプの幅が異なるものを選べば問題ありません。持ちの良さや結びやすさの事も考慮して、生地に厚みがあるものをお選びください。

ワイシャツを選ぶポイント

スーツはもちろん、ワイシャツも体にあったものが1番。ワイシャツのサイズが体に合っていないと、不格好に見えたり、印象を悪くしてしまうことがあります。

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女性のスーツはジャケットやスカートの丈がポイント

女性のビジネス用のスーツは、男性と同様に、基本的に無地のものを、色は、黒、濃紺などの濃い色合いまたは明るいベージュなどがお奨めします。

スタイルも男性同様、ベーシックなタイプをお奨めします。身体のラインが強調されたり、スカートの丈が必要以上に短かったり、スリットが深く入っているものなどは、周囲に良い印象を与えませんので、ご注意ください。

スーツのインナーには、白の無地の襟付きのシャツをお奨めします。また、胸元が開き過ぎていない事も、試着の際にご確認ください。

寒い季節は、タイツを着用する方が多いと思いますが、タイツはカジュアルなものですので、肌に合わせたナチュラルな色合いのストッキングの着用がビジネスの場には相応しいです。

スーツ選び方・女性編

色、素材…色は、男性同様、基本的には濃紺、グレー、黒などのダークな色合いがお奨めですが、春や夏などの季節には、明るいベージュや薄いグレーなども涼しげな印象を与える事ができます。素材は、ウールの他にコットンもお奨めです。 

上着のシルエット…身体のサイズに合ったものがお奨めです。試着時に、必要以上に身体のラインを強調していないかご確認ください。

スカートの丈…椅子に腰を下ろした際に膝が隠れる程度の丈がお奨めです。スリットの深いもの、丈が短すぎるものは、ビジネス向きではありません。スタイルは、フレアスカートや切り替えのあるものよりは、ストレートのシンプルなスタイルがお奨めです。

 

清潔な指先をキープ

爪は、清潔感があり、業務に支障をきたさない程度の長さに保ってください。マニュキュアについては、薄いピンク、ベージュなどの主張しすぎない色合いがお奨めです。ネイルアートについては、同系色のフレンチネイルまでに留める事をお奨めします。凝ったネイルアートは避けてください。また、はげてしまったマニキュアは、だらしない印象を与えますのでご注意ください。

控えめメイクがオフィス向け

オフィスでのメイクは、清潔で健康的で自然なものを心がけてください。派手な印象を与えるラメが使ったメイクや、必要以上に目元を強調したメイクは、ビジネスの場には相応しくありません。また、ノーメイクもマナー違反です。メイクをする事は社会人としてのマナーの1つです。

ヘアスタイルは、まず清潔感が大切

髪については、まず、手入れが行き届いている事が大切です。濃い色のスーツにフケが落ちているなどはもってのほかです。男性、女性ともに顔がはっきりと見えていると明るい印象を与える事ができます。整髪料は、使う事で髪が整っている印象を与えると思いますが、付けすぎにはご注意ください。また、カラーリングは、少し明るくする程度でしたら問題ありませんが、極端なカラーリングは清潔な印象を与えません。

男性のヘアスタイル…男性は、基本的に顔がはっきりと見える短髪がお奨めです。長さは、前髪は眉毛が隠れる程度、襟足は正面から襟足が見えない程度、サイドは耳が出る程度が目安としてください。

女性のヘアスタイル…女性も、基本的に顔がはっきりと見える髪形が明るい印象を与える事ができます。ロングヘアーの方は、後ろでひとつにきっちりとまとめておく事をお奨めします。髪留めを使う場合は、目立たないシンプルなものをお使いください。後れ毛が気になる場合は、スプレーなどで固めてしまうと良いでしょう。

業種による好印象のヘアスタイル

業種によって、好まれるヘアスタイルは異なります。銀行、公務員などの堅いイメージを持たれがちな業種では、ヘアスタイルについても社内のドレスコードで取り決めがされている場合があります。ファッション関係、デザイン関係などの華やかなイメージのある業種では、ある程度自由度があるでしょうが、清潔感を心がけ、奇抜すぎるヘアスタイルは避ける事をお奨めします。

個性の発揮は、長髪・髭以外で

近頃は、おしゃれとして、髭を伸ばしている方が多いですが、相手によっては、だらしないという印象を与えてしまう場合もまだまだ多い様です。例え、清潔を心がけ、手入れをしている髭であっても、ビジネスシーンでは、良い印象には繋がらない事が多いので、剃っておく事をお奨めします。

ビジネスシーンでのタブー

明るすぎるカラーリング…明るすぎたり、奇抜の色であったりするカラーリングは、お奨めできません。印象を明るくする為の自然な色のカラーリングは問題ありません。

眉毛の太さ…細すぎる眉毛は軽薄な印象を与えてしまいます。ぼさぼさの眉毛はだらしない印象を与えてしまいます。自然に整える事をお奨めします。

口臭…取引先の訪問や、来客対応の多い職種の方は、臭いのきつい食べ物は避ける事をお奨めします。食事の後には必ず歯磨きをして下さい。外出が多い為、歯磨きをする事が難しい方、口臭予防のタブレットをご利用ください。また、口の周囲や歯に食べ物のカスが付いていない事を鏡でご確認ください。

体臭…毎日、お風呂に入る、シャワーを浴びる等は基本的なマナーですが、汗が気になる季節には、制汗剤やフレグランスなどを利用する事も必要です。

鼻毛…不潔な印象を与えてしまいます。男性の方は、女性よりも鏡を見る機会が少ないと思いますので、朝、髭を剃る際に鏡で確認する事をお勧めします。

乾いた唇…女性だけでなく、男性の場合も唇のかさつきは良い印象を与えませんので、リップクリームの使用をお奨めします。

顔のてかり…女性だけでなく男性も顔のてかりを抑える為に、油とり紙などの利用をお奨めします。 

パーマ…男性がかけるパーマは、軽薄なイメージを与えてしまう場合が多いと思います。女性は、自然なウェーブが女性らしい印象を与えてくれますが、あまり強いカールは避ける事をお奨めします。

ピアス…男性のピアスはマナー違反です。女性のピアスは、ビジネスシーンでは、派手すぎるものは避け、シンプルで小ぶりなデザインのピアスをお選び下さい。

ビジネスバッグの選び方と持ち物

ビジネスバッグについては、書類を無理なく納める為のA4サイズの手提げタイプをお奨めします。リュックやショルダーバッグは機能的ですが、ビジネスシーンには相応しくありません。色は黒や茶色、素材は革、または布製がお奨めです。ナイロン製が軽くて使いやすいですが、幼い印象をもたれてしまう事が考えられますので、お奨めできません。また、高価だから良いという訳ではありません。有名ブランドの高級バッグは、新入社員には似つかわしくないと考える方もいらっしゃる為、お奨めできません。

常にバッグに入れておきたい持ち物

バッグの中には、ビジネスシーンで必ず必要となる物と、身だしなみを整える為に最低限必要なものを入れておく事をお奨めします。

・必ず必要となる物:名刺入れ、名刺、スケジュール帳、筆記用具、スマートフォン(携帯電話)

・身だしなみを整える為の物:ハンカチ、ポケットティッシュ、手鏡、クシ、歯ブラシセット

靴の選び方

男性靴…黒または茶色の皮製で、ひもで結ぶタイプ、またはローファーなどのシンプルなものがお奨めです。

女性靴…黒または茶色の皮製で、3cm以下のローヒールのシンプルなパンプスがお奨めです。派手な飾りが付いているもの、ヒールが高すぎるもの、つま先が開いたミュールやブーツは、ビジネスシーンには相応しくありません。

その他の小物の選び方

靴下、ストッキング…男性はひざ下までの黒靴下。女性は肌色のストッキングがお奨めです。白い靴下は清潔感がありますが、幼く見えてしまいますのでビジネスシーンには相応しくありません。女性は、ストッキングの伝線にはご注意ください。

腕時計…スマートフォン(携帯電話)を腕時計代わりに活用している方が多いと思いますが、ビジネスマンとしては、腕時計を持つ事をお奨めします。アナログタイプで適度に高級品があるものをお選びください。アウトドア仕様のものは、ビジネスシーンには相応しくありません。

オフィスカジュアルの基準は?

企業によっては、全面的にオフィスカジュアルが認められていたり、週に1度程度オフィスカジュアルが認めていたりする場合があります。オフィスカジュアルは、全面的に服装が自由という訳ではなく、ドレスコードが設けられている場合がありますので注意が必要です。また、急な来客に対応できる為にも、ビジネスシーンに相応しい華美になりすぎない服装が望ましいです。

クールビズの普及

省エネを意識して、夏季にエアコンの設定温度を28℃に保っている状況でも、快適に働く為に、ノージャケット、ノーネクタイが許されるというクールビズを実施する企業が増えてきています。

社内に備えておきたいもの

ロッカーが使える場合は、緊急の場合に必要なものを備えておく事をお奨めします。

・予備のネクタイ、シャツ、ストッキング

・喪服(黒いネクタイ、数珠、黒いストッキング)

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