ビジネスマナーの基本

14. 会食の幹事のポイント

社内の人との食事や取引先の会社との会食も、ビジネスマナーをきちんと守る必要があります。本来、マナーの基本とは常に相手の立場に立って、相手に喜んでもらうことです。気を遣うこともありますが、その結果、自分にとってプラスにもなり、会社にとってもプラスとなります。
ビジネスシーンにおいて、会食の幹事を任された場合、どのような手順を踏んでいけば良いのか、幹事としての心得などについてご紹介しましょう。

その1 会食の参加者と日取りを決める

取引先の人との会食について、上司からセッティングするように命じられたら、会食の参加者と場所、そして予算を決める必要があります。
会食を行う場所については、先方の窓口になってくれる担当者に、料理や場所について希望を聞き出しておくと良いでしょう。

会食の出席者は、接待する相手となる取引先の会社の人が部長であれば、こちらでも部長に出席してもらうようにしましょう。それぞれの会社の役職を合わせるのが、会食のビジネスマナーの基本となります。

予算については上司に確認し、場所と日程などのスケジュールは先方の都合を伺います。自社優先ではなく必ず先方の意向を確認して、先方の希望を優先してから、スケジュール調整を行います。

その2 会食のお店を選び予約

会食のお店を予約する際には、接待する目的だということをお店の人に伝えるのがポイントになります。接待することをお店の人にあらかじめ伝えておくと、なにかと気を配ってくれるはずです。

食事のメニューは、コース料理が用意されているお店もありますが、プリフィクススタイルにすると、好きな料理を注文することができます。たとえば、肉料理で数種類、魚料理で数種類のメニューが用意されていて、その中から好きな料理を選び、自由に組み合わせることによって、自分好みのコース料理にすることができます。

プリフィクススタイルだと、好みの料理を自由に選べるので、おもてなしの気持ちが相手にしっかりと伝わります。取引先の企業がお酒やジュース、ビールなどの飲料関係の会社であれば、関連があるドリンクがその店で取り扱われているかどうか、予約する時点で確認を入れることも必要です。

とくに会食をする相手が重役クラスの人であれば、ライバルとなる企業の銘柄のドリンクが出されると、気分を害することもありますので、細部らにまで慎重に気を配ることです。

その3 決定事項を先方に連絡する

会食をするお店と日時が決まったら、取引先の会社の担当者に会食の日時とお店の住所・電話番号、そして行き先がわかりやすいように、地図のリンクを添えておくと良いでしょう。時間にゆとりがあれば、会食するお店の下見をして、取引先の会社からの道順や最寄り駅からの道順について補足すると、当日は道に迷うこともなくて安心です。

先方が知らないお店であれば、「とてもおいしいと口コミで評判のレストランです」などとお店について一言、書き添えておくと良いでしょう。会食の時間が楽しみになるように、お店の簡単な紹介文などがあれば、相手に喜ばれます。

メールには、会食の日時と場所が明確にわかるようにして、あとは当日の緊急連絡先として、自分の携帯電話番号を記載するのを忘れずに。

その4 当日の待ち合わせ

取引先の会社の人と会食する時の幹事の心構えとして、当然のことですが、遅刻は厳禁です。なるべく早めに入店して、取引先の会社の人を迎え入れられるように待機します。

メールで地図のリンクを貼ったり、会社からお店までの道順を説明していても、場合によっては道に迷う可能性もありますので、このような場面を想定して先にお店の前で待っておくと良いでしょう。

ただし大人数で迎えるのは、相手にとっては負担になることもあります。入店したら、すぐに化粧室に立ち寄る場合もありますので、相手の行動をよく考えましょう。店内で待つときは個室の前で迎えるなど、相手に対する配慮が求められます。

その5 席に案内する

和食、中華料理、洋食と席次はそれぞれ決まってはいても、どんな料理のジャンルにしても、出入り口からもっとも遠い席は上座、もっとも近い席は下座になります。ただし、お店によっては、上座の位置が異なる場合がありますので、事前によく確認してから、テーブル席に案内するように心がけましょう。

幹事を任されたら、お店の予約をするだけではなく、どの位置が上座・下座になるのか、少し早めに到着してお店に人に確認するか、事前に1度下見をしておいて、確認すると良いでしょう。

取引先の会社の人をおもてなしする立場なので、会社のマナーをきちんと守り、お互いに楽しくなごやかな雰囲気で食事ができれば理想的です。テーブルマナーやビジネスマナーの基本をきちんと踏まえながらも、必要以上に神経質にならないようにして、柔軟に臨機応変な対応ができるように、おもてなしをすること。

その6 注文する料理を選び、料理が来たら食事の取り分け

取引先の人との会食では、コース料理を選ぶのが無難ですが、いくつかのコースの中から特定のコースを最初から決めるのではなく、ある程度は選択肢があれば、相手の好みに合わせて料理を選べるので、良いおもてなしができます。

注文した料理がテーブルに来たら、大皿の料理を取り分ける時は、取引先の会社の人を招待する側の末席に座っている人が、全員の分を取り分けるようにすること。大皿の料理を取る時は、左手前から取り、主賓の人の分から取り分けて、大皿料理を小盛りにしたようなイメージで、盛り付けをすると良いでしょう。

その7 お酌の仕方について

お酒やビールなどのアルコール類が会食の席に出される場合、注ぐ順番にもビジネスマナーがあります。基本的に、役職の高い順からお酌をするのが鉄則ですから、部長と課長が出席している場合は、最初に部長、その次に課長にお酌をします。ビールを注ぐ場合は、ラベルのほうを上に向けてお酌をします。ビールのラベルを隠さないようにするのは、ラベルがその飲み物にとっては、顔のような存在だと考えると良いでしょう。

ラベルの部分を隠さないようにして、ラベルより少し下の部分を右手で持って、左手を添えて、ビールのグラスとビール瓶が触れないように気を配ります。お酌をする時に、あまり勢いをつけて注ぐと、炭酸の泡がふきこぼれてしまうこともありますので、注意しましょう。

グラスにビールを注いだ後、どのタイミングでおかわりを注いだら良いか、その目安は相手のグラスが4分の1程度の量になった時に、一言「おかわりはいかがでしょうか。」と相手に尋ねてみましょう。

グラスに少しビールが残っていると、すぐに飲み干しておかわりができるようにする人もいますが、ゆっくり飲みたい人もいるので、「手酌で」と言われる場合もあります。その時は、相手に無理に勧めることなく、「恐縮です」と言って、そのまま後にするか、その時の状況によっては、「せひもう一口いかがでしょうか」と勧めるかどうか、相手の表情から判断して、臨機応変に対応しましょう。

相手からのお酌を受ける時は、残っている分を飲み干してから。日本酒を飲む時は、両手で杯を持ち、ビールを飲む場合はグラスの取っ手の部分を持ちます。

その8 飲食代金の会計について

会計をする時は相手に気づかれないように、食事の最後にデザートが出る前後のタイミングを見計らって、化粧室に行くふりをして会計を済ませるようにします。会計の方法について、事前にカード払いが可能なのか、現金支払いのみか、支払い方法について確認をすること。

カードで支払いをする場合、会社名義のカードを使用すること。飲食代金について、必ず領収書をもらっておくのを忘れないように注意しましょう。

その9 会食後の車の手配と二次会について

会食を行う時間帯やその場の雰囲気によっては、二次会に行く場合もあります。先方の都合にもよりますが、その時の様子を見て二次会にカラオケやバーに誘うことも、接待では日常的に行われています。先方が二次会に行くことを希望しているなら、どんなお店に行きたいのか希望を伺い、お店を予約します。

最初から二次会に行くことを予定していなかった場合にも、二次会に行くことを想定して、お店の候補についていくつか挙げておくと、すぐに決められます。あらかじめリサーチしておくと、後がスムーズです。

もちろん、先方の都合が悪い場合や、あまり乗り気でないのに無理に誘うのはかえって失礼なので、一次会の会食でお開きとなります。そのまま帰る場合は、タクシーなど車の手配をお店に人にお願いすると良いでしょう。

その10 会食後のフォロー

取引先の会社との人との会食は、今後の良い関係を築くことを目的としたものです。会食をした後には、取引先の会社の人に丁寧なアフターフォローをすることを忘れないように心がけたいものです。

会食の翌日には、朝一番にメールにてお礼の連絡をすること。先方からお礼の連絡を受けるより先に、メールを送ることが大切です。メール連絡がメジャーになる前は、電話でお礼の連絡をするのが常識でしたが、メールでの連絡なら朝の忙しい時間を邪魔することもありません。

忙しい時間を割いて会食の場として貴重な時間をいただいたことに、お礼と感謝の気持ちをしっかりと伝えましょう

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